
キム・ミョンソン SAND研究所専任研究員
二番手の地位を享受した金主愛…北朝鮮、装備なしの閲兵式を実施
北朝鮮労働党第9回大会を記念する閲兵式で、金正恩国務委員長の娘・金主愛(13歳と推定)が「次期指導者」の風格を誇示した。閲兵式主席団後方に設けられた特別スペースの中央に座る主愛を、労働党政治局常務委員らが取り囲む形の席順が確認された。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は26日、第9回党大会記念閲兵式のニュースを伝えながら、金正恩と朱愛が共に主席団に上がった姿を公開した。金正恩と同じ革コートを着た金朱愛はパーマをかけた姿だった。この日の主席団は金正恩と朱愛のための別個の空間として区分けされて構成された。前列には金正恩を中心に軍部指導者たち、党中央委員会政治局委員・候補委員たちが起立して閲兵式を閲閲し、その後方では朱愛と常務委員たちが椅子に座って閲兵式を見守った。

朝鮮労働党第9回大会記念閲兵式が25日夜、平壌の金日成広場で行われたと朝鮮中央通信が26日報じた。主席団最前列には金正恩を中心に軍部要人、党中央委員会政治局委員、候補委員らが立っている。その後方に設けられた座席には曺愛が上席に座り、その周囲を4人の党政治局常務委員、李雪主、崔善姫外相が囲むように座っている。/聯合ニュース
朱愛の左側には曺永元前組織部長と李日煥宣伝部長、右側には李雪主が座った。朱愛の後ろには朴泰成内閣総理、崔善姫外相、金才龍組織部長が着席した。崔善姫と李雪主を除く残り4名(朴泰成・曺永元・李日煥・金才龍)は全員、労働党政治局常務委員である。金正恩に次ぐ党権力序列2~5位に相当する。
閲兵式終了後、階段を降りる際も、朱愛が正中央に立ち、金正恩が手すり側に寄った姿が捉えられた。北朝鮮では有力者たちの動線と位置は権力序列を象徴する点から、朱愛の潜在的な地位を示す場面との解釈が出ている。
金主愛は2022年末の初公開登場以降、3年以上にわたり軍事・経済・外交・文化など各種行事に金正恩と同行してきた。2024年からは「嚮導(導き手)」という表現が使用され、最近では主愛を象徴する「新星」の名称を冠した大規模建設事業も完了したと伝えられた。最近、国家情報院は国会報告でジュエについて「後継内定段階と判断する」と明らかにした。今回の閲兵式での座席配置と動線演出は、ジュエの権力継承を既定事実化しようとする象徴的な場面だという評価が出ている。
先に金正恩とジュエは、ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領が贈ったロシア製高級乗用車「アウルス」に乗って閲兵式場に到着した。アウルスは「ロシアのロールスロイス」と呼ばれる。車両ナンバープレートは「727.0001」だった。「727」は朝鮮戦争休戦協定が締結された1953年7月27日を意味する。「0001」は北朝鮮の権力序列1位を示す。
一方、北朝鮮が25日に労働党第9回大会を記念して開催した軍閲兵式では、兵器システムが動員されなかったとみられる。金委員長が党大会で米朝対話の可能性に言及した中、米国を刺激しないよう意図したとの分析が出ている。
26日付の朝鮮中央通信など北朝鮮国営メディアの報道によると、前夜に平壌の金日成広場で行われた閲兵式では「大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星砲-20型縦隊」 「極超音速中長距離戦略ミサイル縦隊」などへの言及がなく、北朝鮮メディアが伝えた閲兵式の写真にもICBMなどの戦略資産はもちろん、戦車や装甲車、多連装ロケット砲などの通常兵器装備も見られなかった。
これまで平壌・美林飛行場で行われた北朝鮮の閲兵式準備過程でも、主に大規模な兵力のみが衛星写真で捕捉され、大型装備の移動や動きは捕捉されなかった。
韓国軍当局も、北朝鮮の第9回党大会を契機とした閲兵式が兵力中心で行われたと見ている。
韓国国防安保フォーラム(KODEF)によると、2015年10月10日の労働党創建70周年記念行事以降、13回の閲兵式の中で装備が登場しなかったのは今回が初めてである。2021年1月14日に行われた労働党第8回大会の閲兵式でも、大陸間弾道ミサイルなど装備20種、172台が登場した。
北朝鮮の閲兵式で異例に武器が登場しなかったのは、ドナルド・トランプ米大統領の3月末~4月初めの中国訪問を契機とした米朝対話再開の可能性を念頭に、米国を刺激しないよう意図したとの分析が出ている。
「武器不在」の閲兵式は、核・ミサイル戦力が体制の「定数」として定着したとの自信の表れとの解釈もある。過去には対米交渉を念頭に置いた圧力手段として、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの戦略兵器を大量公開する方式の誇示が必要だった。しかし、今や核戦力が既成事実として認識されている以上、わざわざ米国を刺激して繰り返し示す必要はないという分析だ。
金委員長は閲兵式演説で「わが軍はあらゆる状況に備えている」とし、「いかなる勢力の軍事的敵対行為に対しても即座に痛烈な報復攻撃を加える」と述べた。最近の情勢について「平和保障体系が余すところなく崩壊し、軍事的暴力の濫用で至る所で破壊と殺戮が絶えない現世界」と評価した。
続けて「国家と人民の生存権と発展権を堅固に守ることは、何ものとも並べられない最重大な国事であり、誰にも代わることのできない我が武力の本分」と述べ、軍事力強化の意志を再確認した。閲兵式には北朝鮮軍各軍種、兵種、専門兵種隊を含む50の徒歩縦隊、閲兵飛行縦隊が参加したと中央通信は報じた。また戦車装甲師団、機械化歩兵師団、火力襲撃師団、ウクライナ戦争に派遣された「海外作戦部隊縦隊」と「海外工兵連隊縦隊」なども閲兵行進に参加した。
中央通信は「祖国の南部国境戦線を鉄壁で守る軍団縦隊」が参加したと明らかにし、軍事境界線付近に配置された前線部隊も含まれたものとみられる。朝鮮中央通信はこの日の閲兵式に50の縦隊が参加したと発表した。専門家らは1個縦隊が300人余りで構成されると見ると、今回の閲兵式に参加した軍兵力は1万5千人程度と推定している。閲兵式では航空陸戦兵(降下兵)の集団降下示範が行われ、労働党マークと党第9回大会を象徴する数字「9」を表現する航空機たちが閲兵式場上空でエアショーを披露した。
また党中央委員会政治局常務委員ら党・政府幹部、道党責任書記、省・中央機関の責任幹部らが主席団に着席した。通信はこの日の閲兵式について「朝鮮労働党の偉業、主体革命偉業の必勝不敗性を力強く誇示した意義深い政治軍事祝典として歴史に刻まれるだろう」と伝えた。
中国式の赤い会議用身分証が登場…習近平、金正恩に祝電
北朝鮮労働党第9回党大会に参加した代表団が今週初めて赤い会議用身分証を着用し、これは中国共産党の会議慣行と酷似している。北朝鮮メディアが公開した写真と映像では、代表たちが金正恩バッジの下に四角い赤い身分証をクリップで留めている様子が確認できる。
身分証には着用した代表の証明写真と氏名、職位が含まれている。党大会代表が会議用身分証を着用したのは今回が初めてであり、これは会議場内部の識別システムが最新式に更新されたことを示唆している。2021年1月に開催された第8回党大会期間中には赤い手帳形式の参加証が発行されたが、今年の代表団は従来の手帳形式参加証と新たに導入された会議用身分証の両方を所持している。

これは中国の姿と類似している。金正恩体制下で党大会が再び定例化されたことは中国と類似している上に、代表たちが名前と写真が入った身分証を装着する方式も中国を直接模倣したものだという観測が出ている。新しい身分証のデザインも中国共産党党大会で使用される身分証の標準形式をそのまま踏襲し、証明写真を左側に、代表の名前と職名は右側に印刷し、党の紋章を写真の上に表示している。ただし中国身分証には識別番号が目立つように表示されているが、北朝鮮身分証には下部に識別番号を表示したものの、あまり目立たない様子だ。
一方、会議場後方に着席した党大会傍聴者には、代表が着用する赤色身分証と区別される青色会議用身分証が発行されたようだ。中国共産党は傍聴者用身分証のデザインを使用せず、同一規格の会議用身分証に印刷された職名を通じてのみ地位を表示する。金正恩労働党総書記は新しい会議用身分証を装着せず、金日成・金正日のバッジのみを付けて登場した。
これに対し、習近平中国国家主席は党大会で他の代表者らと同一の身分証を装着する。一方、北朝鮮は24日、習近平中国国家主席が金正恩国務委員長の労働党総書記再推戴に関連した祝電を送ってきたと明らかにした。北朝鮮の朝鮮中央通信によると、習主席は23日に送った祝電で「中朝(中北)関係を立派に守り、立派に固め、立派に発展させていくことは中国党と政府の一貫した揺るぎない方針」と述べた。
習主席は「百年来の未曾有の変化局面が急速に発展し、国際情勢が複雑に絡み合う中で、私は総書記同志と共に双方の関連部門と地域が我々の間で築かれた重要な共同認識を立派に履行するよう指導する」と述べた。また「中朝友好の新たな章を刻み、両国の社会主義建設偉業に貢献し、両国人民の福祉と友好を増進させ、地域と世界の平和と安定、発展と繁栄を促進することに積極的に貢献する用意がある」と述べた。
北朝鮮は22日に行われた労働党第9回大会4日目の会議で、金委員長を党最高職責である総書記に再推戴した。北朝鮮はロシア・ウクライナ戦争局面でロシアと緊密化し、中国とは一時距離を置くように見えたが、昨年9月に金正恩氏が中国の戦勝節80周年記念閲兵式に出席し、関係修復の糸口を開いた。ただし関係回復の速度は遅いとの評価が出ている。
北朝鮮、馬息嶺スキー場を積極宣伝…外国人観光客誘致試み
北朝鮮が重点観光ベルトである江原道元山近郊の馬息嶺スキー場を積極的に宣伝し始めた。北朝鮮内閣機関紙・民主朝鮮は19日、「観光客を歓迎する馬息嶺スキー場」と題する記事を掲載し、「国内の人民だけでなく、各国から訪れた観光客も歓迎している」と伝えた。また馬息嶺スキー場を「世界一流級のスキー場」と表現し、内部の各種施設を紹介した。
続けてマシクリョンスキー場が総面積3万㎡に初級・中級・上級スロープ10基を備えているとし、「世界級のスキー競技を開催できる」と宣伝した。プール、マッサージ室、総合商店などの娯楽施設が整ったホテルと医療施設、ヘリコプター着陸場なども備わっていると伝えた。

馬息嶺スキー場は2013年12月31日に開場した。金正恩国務委員長が政権初期の代表的な業績として掲げた場所である。北朝鮮は国際社会の制裁の中でも、馬息嶺スキー場にスウェーデン製除雪機やイタリア製除雪車両など高価な欧州製設備を設置し、注目を集めていた。
韓国メディアに内部施設が公開されたこともある。南北和解局面だった2018年1月、平昌冬季オリンピックを前に南北スキー選手が共同訓練を行った際のことだ。その後、コロナ封鎖などで外国人観光客を誘致することはできなかったが、北・露協力が強化され、ロシア人団体観光が一部行われたと伝えられている。
最近もロシアの旅行会社が今月末に馬息嶺スキー場を訪問できる観光商品を発売し、宣伝した。旅行会社は20日から27日までの間、馬息嶺スキー場と平壌市内を5泊6日の日程で旅行できる商品とし、「人混みなく、あなただけが新鮮な雪と人の少ない自然を楽しめる」と述べた。
一方、10年以上にわたり巨額の投資を注ぎ込んだ巨大リゾートと観光施設が外国人観光客誘致に失敗する中、最近では国内向け旅行商品の販売も進めていると伝えられている。