
ウクライナ戦場で学んだ金正恩、NLL無力化攻撃にドローン、ミサイル活用の可能性

キム・テジュン韓半島安保問題研究所長(前公州艦艦長)
北朝鮮の金正恩国務委員長が、敵対的な二国間関係の公式化後、非武装地帯を国境線化したのに続き、西海NLL(北方限界線)水域にも一方的な海上国境線を規定することで、NLLを無力化しようとしている。今後、北朝鮮がNLLで多様な方式で挑発するだろうという観測が出ている。
まず、ロシア・ウクライナ戦争で大きな効果を見せたドローンとミサイルを活用することが予測される。ドローンを利用して港に停泊または機動中の韓国海軍大型艦を打撃して沈没させる場合、国民に与える心理的衝撃は非常に大きいだろう。ドローンでなくても漁船に偽装した工作船からミサイルを撃ったり、水中浸透隊で攻撃することもできる。
また、予想される挑発方式は潜水艦だ。北朝鮮は世界屈指の潜水艦運用国だ。 天安沈没事件と相次ぐ東海潜水艦座礁事件、主体思想派の金永煥(キム·ヨンファン)密入国事件などでも分かるように、これまでの挑発にも半潜水艇・潜水艦を積極的に利用してきた。そして潜水艦は探知と撃沈がかなり難しい。
これまで北朝鮮の挑発方式にもトレンドの変化があった。第1、2次延坪海戦と大青海戦は、水上艦間の海戦だった。第2次延坪海戦では、韓国海軍が相当な被害を受けたが、この3度の戦闘でいずれも韓国海軍が北朝鮮の攻撃を制圧し、NLLを海上境界線に維持している。これで北朝鮮は、水上艦間の海戦において韓国の相手にならないということだけが明白になった。
そのため、北朝鮮は2010年、天安艦沈没には海上の非対称戦力である潜水艦を使用した。水中に潜航するため探知が難しいサケ級潜水艇から音響感応魚雷を発射、天安艦を撃沈したのだ。
これに対し、韓国海軍が対潜警戒を強化すると、北朝鮮は全く違う攻撃形態を試みた。白昼堂々と延坪島に砲弾を発射した。これが延坪島砲撃戦だ。この攻撃で民間人も2人が犠牲になった。北朝鮮の残酷さと無慈悲さを示す事例だった。
もちろん、南北間の武力紛争を平和的に終息させようとする試みもあった。
南北基本合意書のほか、2007年の10·4南北首脳宣言でも、「西海での偶発的な衝突防止のため、共同漁労水域を指定し、この水域を平和水域にするための案と各種協力事業に対する軍事的保障措置問題など、軍事的信頼構築措置を協議」するという条項が盛り込まれた。
2018年の9.19軍事合意でも西海での軍事的衝突を防ぐために緩衝地域を設定し、NLL付近での砲射撃訓練の禁止、航空機および軍艦のNLL接近禁止などの措置が決まった。しかし、これまで北朝鮮は、このような協定や合意文をともすれば放棄し、武力挑発に乗り出してきた。そのため、西海紛争を平和的に解決しようとする努力は、常に水の泡となってきた。
最近、北朝鮮が弾道ミサイル搭載の通常型潜水艦「金君玉英雄艦」の建造、そして最近公開された戦略原子力潜水艦の建造からも分かるように、北朝鮮は韓国をいつでも奇襲的に攻撃することができる。ただ名分と時期を待っているだけだ。
戦争史を見ると、奇抜な戦術で大勝利を収めた事例が多く出てくる。しかし、いくら奇抜な戦術であっても、一度使えば相手もそのメカニズムを把握し、対応策を出すことになる。そうなれば、その対応策に対抗するために、もう一つの奇抜な戦略と戦術を登場させなければならない。