
キム・ミョンソン SAND研究所専任研究員
北朝鮮の密輸貨物船、中国船舶と衝突後沈没し20人死亡
石炭を密輸しようとしたと疑われる北朝鮮の貨物船が先月、西海(黄海)において中国船舶と衝突し沈没する事故が発生した。それにより北朝鮮の船員が20人近く死亡した。対北朝鮮制裁品目である石炭の密輸現場で発生した事件であり、中朝両国ともにこれをもみ消そうとしている。
聯合ニュースは13日、有力な対北朝鮮消息筋を引用し、2月末、船舶自動識別装置(AIS)を切ったまま西海を航海していた北朝鮮貨物船が中国南東部のある港近海で中国船舶と衝突後に沈没したと報道した。AISは船舶の位置や速度などの信号を送出する装置である。北朝鮮船舶は、国際社会の対北朝鮮制裁監視を避けるため、大半がAISを切って航海している。
中国当局の主導で救助作業が行われたが、一部だけが救助され、北朝鮮船員15~20人は死亡し、中国船舶側の被害は軽微だとされた。
事故が発生した中国南東部の西海水域は、北朝鮮の貨物船が石炭の密輸出によく利用するルートとして知られている。北朝鮮産の石炭の輸出は、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁違反だ。
当時、事故水域は濃い霧で視界確保が難しかった状況と伝えられている。北朝鮮の貨物船は、気象悪化にもかかわらず制裁を避けて石炭を密輸しようとしたが、中国の貨物船がAISを切ったまま航海する北朝鮮の貨物船を認知できず、事故が起きたものと推定される。当時、北朝鮮の船舶には石炭が過積載されており、貨物も船舶とともにすべて沈んだとされている。
しかし、北朝鮮はもちろんのこと、中国当局も今回の事故について公開していない。北朝鮮事情に詳しい消息筋は、連合ニュースに「今回の事故が外部に知られれば、北朝鮮にとっては悪材料であることはもちろん、制裁違反を黙認した中国側にとっても頭の痛いことであるため、事故のニュースを隠している」と推測している。
2017年3月にも、位置情報がまともに把握されていない北朝鮮貨物船が中国南東部江蘇省付近で中国船と衝突し沈没する事故があった。当時は北朝鮮の船員が全員救助され、中国交通部も事故事実を発表していた。
石炭は北朝鮮の主要輸出品目だ。米国の北朝鮮専門メディアであるNKニュースは昨年4月、北朝鮮の羅先にある港の石炭ターミナルにロシアが運営する貨物船が停泊したとし、北朝鮮とロシアが制裁を避けて密輸を試みていると疑った。2022年、日本経済新聞は北朝鮮の船舶航跡記録と人工衛星写真などを根拠に中国が北朝鮮の石炭を密輸入しているという疑惑を報道した。2019年、韓国の国家情報院は北朝鮮の石炭密輸が疑われる貨物船が日本の港に出入りした情況が捉えられたとした。
終戦を準備する北朝鮮···ロシアに「派兵請求書」を提出
崔善姫、ロシア外交次官接見..北朝鮮軍捕虜の送還を要求したか
ドナルド·トランプ米大統領の政権発足後、ウクライナ戦争が終戦交渉の局面に入り、参戦国である北朝鮮とロシアの足取りも速くなった。北朝鮮軍の派兵などで関与してきた北朝鮮もロシアに差し出す「請求書」を準備し、終戦に備えているものと分析される。
北朝鮮の崔善姫外相がロシアのアンドレイ·ルデンコ外務次官に会ったことが16日、明らかになった。ロシアのウクライナ侵攻に派兵された北朝鮮軍関連、特にウクライナ軍が生け捕りにした北朝鮮軍捕虜の送還問題が取り上げられたものとみられる。これとは別に、ルデンコ次官と北朝鮮の金正圭外務次官による次官会談も行われた。

通信は今回の北朝鮮とロシアの高官級会談について、「親善的な雰囲気の中で進められた」とし、「双務交流と協力を積極的に推進し、国際舞台で相互支持と協力を強化するための実践的方法を具体的に討議し、見解の一致を見た」と伝えた。
ルデンコ次官と金次官は昨年、北朝鮮·ロシアの条約の批准代表だったという点で、ウクライナ戦争の北朝鮮軍派兵をはじめとする軍事協力について話し合ったものと予想される。
特に、ウクライナ軍が北朝鮮軍の捕虜2人を生け捕りにした状況であるだけに、彼らを北朝鮮に送還せよという要求も出した可能性がある。現在、米国の仲裁によってウクライナ戦争の終戦が実現すれば、ロシア間の捕虜交換交渉が行われるためだ。
この場合、韓国政府が尽力している北朝鮮軍捕虜の亡命協議も難関に直面する恐れがある。北朝鮮への送還のため、ロシアが自国の兵士だとして送還を要求する可能性があるからだ。北朝鮮は派兵を公式に認めておらず、北朝鮮軍捕虜は偽造されたロシア軍身分証を持っていた。ウクライナの立場ではロシア軍に捕まった自国軍捕虜送還が優先であるだけに、ロシアの北朝鮮軍捕虜の送還要求を拒否することは難しいという公算が大きい。
両国間経済、科学技術協力にも拍車がかかっている。労働新聞は18日、「朝露政府間貿易経済および科学技術協力委員会の我々の委員長である対外経済相尹正虎(ユン·ジョンホ)同志を団長とする政府経済代表団がロシアを訪問するために17日平壌を出発した」と報道した。
尹正虎は、北朝鮮とロシアによる「貿易経済および科学技術協力委員会」の北朝鮮側委員長である。また、チョン·ソルリョン保健省次官を団長とする保健省実務代表団も同日、ロシアへ出発した。
北朝鮮はこれらの具体的な訪露目的や日程などは明らかにしなかったが、昨年6月の首脳会談で締結した「包括的な戦略的パートナー関係に関する条約」履行次元において両国間の協力議論が続くものと予想される。
これと関連して、北朝鮮軍の派兵でロシアを支援してきた北朝鮮が、その見返りに要求事項を積極的に提示する可能性も取り上げられている。 北朝鮮は昨年、約1万2000人の兵力を派遣したのに続き、今年初めには少なくとも1000人以上を追加派兵し、このうち相当数が負傷したという。
経済部門では経済協力を拡大する方式の金銭的補償案を議論する可能性がある。必要な資源や技術支援の他に、北朝鮮の立場においては、外貨稼ぎにさらに直結するロシア観光客の拡大や北朝鮮労働者のロシア派遣などを要求事項として提示することもありうるという観測が出ている。
保健省代表団は今後、北朝鮮に開院される予定の病院に必要な各種機材と医療人材および技術を支援する問題を協議することができる。
海上脱北を試みる北朝鮮の青年3人が公開処刑…「韓国行きは死」というメッセージ
北朝鮮当局が最近、海上を通じて脱北を試みた青年3人を公開処刑し、遺体まで燃やす行為をしたと、米国の自由アジア放送(RFA)が報道した。
北朝鮮が韓国を「敵対国」と規定した後、韓国行きの脱北者に対する処罰強度を強化した中で、劇薬処方を通じ、「韓国行きはすなわち死」というメッセージを与えようという意図とされる。
RFAは10日、平安北道内部の消息筋の話として、処刑された青年たちは北朝鮮東海岸地域から木船を利用して韓国に脱出しようとして摘発されたと伝えた。

この消息筋によると、今回公開処刑された青年たちは30代男性3人で、キム氏兄弟2人と彼らの友人であるイ氏だった。彼らは数カ月間の準備の末、木船を購入し、今年1月に南に向かったが、濃い霧の中で迷っていたところ、北朝鮮警備艇に発覚し逮捕された。
北朝鮮側の警備艇を韓国漁船と勘違いした彼らは「私たちは韓国に行こうとする脱北者だ。助けてほしい」と叫んだが、すぐ逮捕され悲劇的な運命を迎えた。
北朝鮮当局は2月20日、黄海南道で彼らを公開銃殺した。当局は工場、農場、学校に所属したすべての住民を指定された場所に強制招集した後、銃殺場面を目撃させるようにした。消息筋は「当時、幼い生徒たちは恐怖に震え悲鳴を上げ、一部住民たちは衝撃を受けて失神するなど修羅場になった」と伝えた。
北朝鮮当局は今回の公開処刑を通じて、脱北を夢見る住民たちに強い警告メッセージを伝えようとしたものと見られる。ある住民はRFAに「これからは韓国に行こうとする脱北者は教化所に送られるのではなく、無条件に銃殺刑に処するという話を処刑現場で聞いた」とし「過去最大15年の教化刑を宣告された脱北者処罰が完全に変わった」と明らかにした。
北朝鮮内部の関係者は、「公開処刑が行われた場所には数百人の住民が強制的に動員された」とし、「遺体を燃やしたのは、脱北の試みを思わないように恐怖の雰囲気を作ろうとする意図だ」と伝えた。今回の処刑が北朝鮮住民に「韓国行きはすなわち死」というメッセージを与えようという意図だということだ。
安保当局は関連報道に対して「個別的な報道事項に対していちいち確認することは難しい」という立場を明らかにした。