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北朝鮮が公開した核推進戦略潜水艦の分析 : 最終的な核兵器戦略核潜水艦建造に乗り出したという北朝鮮の主張、果たして事実なのか

















チェ・イル潜水艦研究所長(予備役海軍大佐、孫元一艦初代艦長、海軍士官学校招聘教授)




北朝鮮は2025年3月8日付の労働新聞において核推進潜水艦を公開した。



    • 公開した潜水艦の実体

北朝鮮は今回公開した潜水艦を「核動力戦略誘導弾潜水艦」と命名した。 北朝鮮は「核動力潜水艦」という言葉を今回初めて使用した。韓国では、この「核動力潜水艦」という用語を使用していない。

 


英語式の語源を見ると、潜水艦を推進機関に分類する際、核推進潜水艦(Nuclear propulsion submarine)と通常型(ディーゼル-電気)潜水艦に分類される。 また、潜水艦には推進動力の他にも装備作動のための動力が必要なので、動力の根源となる原子力を強調しながらNuclear-powered submarineを使用することもあり、私たちはこれを通常「原子力潜水艦」と呼ぶ。



「核動力潜水艦」という用語も私たちが一般的に使う用語ではないが、原子力潜水艦のような意味で見なければならないだろう。 結局のところ、北朝鮮式の表現である「核動力潜水艦」とは、韓国が一般的に使用する「核推進潜水艦」と「原子力潜水艦」は同じ意味である。



では、「核動力戦略誘導弾潜水艦」とは何か。 2023年9月、金君玉英雄艦の進水式の際、北朝鮮はこの潜水艦を「戦術核攻撃潜水艦」と命名した。戦術核とは核兵器が搭載された小型弾道ミサイルまたは巡航ミサイルを意味する反面、戦略誘導弾とは核兵器が搭載された大型弾道ミサイルを意味する。



つまり、「核動力戦略誘導弾潜水艦」とは、核搭載戦略誘導弾(SLBM)を搭載した核推進潜水艦、すなわち我々が一般的に言う核推進戦略潜水艦(SSBN)を意味する。



    • 北朝鮮がSSBNを作る理由

北朝鮮の最終目標は、米国本土を核兵器で攻撃する能力を保有することだ。本土の脅威を受ける米国は韓半島紛争に介入せず、結局のところ北朝鮮は韓半島を赤化統一する野心を実現しようとする。北朝鮮が米国本土に核兵器を投射する案として、ICBMの射程距離を増やし続けているが、これよりさらに脅威的なことは、米国本土に近接して水中から核弾道ミサイルを発射することだ。



この水中発射核弾道ミサイルが、これまで北朝鮮が披露した北極星系列のSLBMであり、これを数発搭載して長期任務を遂行できる核推進潜水艦(SSBN)を現実化させるのが北朝鮮の目標である。



    • 公開された潜水艦の映像分析結果

 大きさ

公開された写真は2枚だ。一部だけが公開されたため長さは分からないが、人の身長を参考にし 潜水艦の直径を算出すれば直径が約12.5メートルだ。



これは現存する世界のSSBN の直径と類似している。 英国のヴァンガード級(Vanguard、水中16,000トン)の直径12.8メートル、フランスのトリオンファン級(Triomphant、水中14,300トン)の直径12.5メートル、中国の晋級(水中11,000トン)の直径11.8メートルと似ており、米国のバージニア級各推進攻撃潜水艦(SSN)の直径10メートルよりは確かに大きい。正確な長さが確認できないため不確実だが、直径で計算してみれば10,000トン級以上と推測される。



 潜水艦建造の工程率


公開された写真の色と撮影角度によって正確な分析は制限されるが、現在、潜水艦の建造が活発に進められている状況ではないものと見られる。建造中なら周辺の作業環境が煩雑だろう。それなら完工して進水が準備中でなければならないが、公開された船体を見れば完工まではかなり遠いように見える。現状では何か進めていた作業が中断されているようだ。



北朝鮮が潜水艦(SSBN)を建造すれば、北朝鮮とロシアの設計技術の影響を受け、二重船体として建造されるだろう。しかし、公開された船体は単一船体に見えるのも疑問だ。



また、鮮明でない画質に船体の一部だけが公開されたというが、センサーと貫通構図なしに船体表面があまりにも単純なのも疑問だ。まるで円筒形の鉄を巻いておいたような感じだ。



また、画質が不鮮明だが、公開された船体は塗装されてから相当な時間が経ったように見える。潜水艦船体と見るには何かずさんさがあるこの船体は、実際の潜水艦船体なのか、それとも潜水艦建造のための陸上テストベンチなのかも不確実である。



    • 未完成の潜水艦を公開した理由


通常、国家元首は完工した潜水艦の進水式に参加するのが一般的だ。今回の北朝鮮の報道の核心は、金正恩が重要な造船所の艦船建造事業を現地で指導したということであり、金正恩が指導した数隻の艦船のうち潜水艦も含まれた。



現時点では、韓米連合の海上演習、米空母の韓半島展開、米国の核推進潜水艦の韓国入港など、北朝鮮の立場では海上での脅威が最も深刻な状況だ。一方で、北朝鮮の海軍力はまだ世界水準に達していないため、海軍力の増強が急がれる。このため、さまざまな種類の軍艦を作って現代化させていることを誇示しようとするものだ。



    • ロシアによる北朝鮮の潜水艦技術支援の見通し 


北朝鮮がロシア∙ウクライナ戦争への派兵の代価として、ロシアから何か受けとるものがあるとすれば、海軍力増強のための技術であり、その中でも潜水艦関連の技術支援であると推測される。



北朝鮮は、ロシアから支援を受けることができる潜水艦技術として、潜水艦原子炉技術、核推進潜水艦の設計および建造技術の支援を受けることもでき、潜水艦そのものの貸与を受けることもできるだろう。これには、核推進潜水艦だけでなく、通常型潜水艦も含まれる。



しかし、派兵の見返りとして、今回公開された潜水艦に原子炉を取り入れることができるかどうかについては疑問である。なぜなら、写真で公開された潜水艦は、すでにロシア∙ウクライナ戦争の勃発以前に設計され、建造されたものとみられ、原子炉を今後ロシアから支援を受けることを念頭に置いて建造に着手したことも理にかなっていないためである。



    • 結論


北朝鮮がSLBMを搭載したSSBNを建造すれば、韓国だけでなく世界の安全保障において大きな脅威となる。当然警戒すべき問題だが、だからといって過度にその脅威を拡大解釈してもいけない。2023年9月、金君玉英雄艦の進水式において金正恩は「過去にはサイズが小さく速度が速い小型潜水艦(サメ級)を多く作ることに力を入れていたが、今は武装装備、作戦様相が変わったので、既存の中型潜水艦(ロメオ型潜水艦)を全てこのように戦術核潜水艦に改造し、今後は新型潜水艦と核推進潜水艦を建造する」と述べた。



金正恩の計画がまともに進められるなら、現時点では金君玉英雄艦が戦力化され、作戦に配置されなければならず、第2、第3の金君玉英雄艦もでていなければならない。しかし、まだそのような気配はない。



この状態でも、再び核推進潜水艦の建造で関心を誘導し、挑発している。北朝鮮はこれまで、「注目を集めるような挑発」だけをして、実体がなかった。北極星系列の潜水艦発射弾道ミサイル、小型弾道ミサイル、核魚雷<ヘイル>、潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)、金君玉英雄艦など、注目を集めるような挑発だけをして以来、戦力化のないパターンを続けてきた。 2019年7月、金正恩は新型潜水艦の建造現場における巡視場面を公開したが、この潜水艦は最初から実体がない。



北朝鮮のSSBN建造目標は明確だと思える。しかし、これを現実化するまでには相当な期間がかかるものと見られる。北朝鮮による注目を集めるための挑発に過敏に反応せず、冷静に北朝鮮の限界を見つつ対策を立てていかなければならない。

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